吸血鬼の歴史に詳しくなるブログ

吸血鬼の形成の歴史を民間伝承と海外文学の観点から詳しく解説、日本の解説書では紹介されたことがない貴重な情報も紹介します。ニコニコ動画「ゆっくりと学ぶ吸血鬼」もぜひご覧ください。

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英語ヴァンパイアの最初の翻訳は「吸血鬼」ではなくて『蛭』だった!【ヴァンパイアの訳語の歴史①】

【目 次】

『吸血鬼』という和製漢語を生み出したのは南方熊楠…という説が覆った!
①この記事
『吸血鬼』は和製漢語で中国へ伝来した!
吸血鬼は『吸血魔』とも呼ばれていた!日本の『鬼』とは関係がない?
戦前の日本で吸血鬼といえば『女吸血鬼』が主流だった?
芥川龍之介に英語を教えた先生は、吸血鬼にも詳しかった!?
ヴァンパイアは吸血鬼以外にも『落とし穴』という意味があった!?
 番外編:「怪物」が『フランケンシュタイン』に変わったのは何時?
⑦ "vampire"の訳語の変異まとめ【最終記事】
日本における吸血鬼ヴィジュアルイメージはどのように定着していったのか:当ブログ記事を参考にした卒業論文が作られました


 前回紹介した「『吸血鬼』という和製漢語を生み出したのは南方熊楠…という説が覆った!プロの評論家からのお墨付きも頂きました」という記事では、妖怪関係のゆっくり解説者の烏山奏春氏の調査により、それまで有力視されていた「吸血鬼という和製漢語を作り出したのは南方熊楠だった」という説が覆ったことを解説した。しかも「南方熊楠造語説」を最初に提唱した文芸評論家・東雅夫先生自ら「新発見である」とのお墨付きを、ツイッターより頂くことができた。新発見もさることながら、東雅夫先生が自ら自分の説が覆ったことを認めて下さったものだが、前回のブロマガや先行して紹介した動画でも大いに反響があった。

 さて前回の記事の最後でも述べたが、私は吸血鬼の解説動画を作っているという立場でありながら「吸血鬼という和製漢語を作ったのは、南方熊楠ではなかった」という事実だけで満足してしまった。だがゆっくり解説仲間である烏山奏春氏はあれ以来興味を覚えて、吸血鬼という単語の造語の更なる起源を追い求めて調査された。前回の記事では、戦前の英単語の翻訳を見る場合は、国立国会図書館デジタルコレクションにある当時の事典・辞書を見るのも有効であると解説した。それを駆使し奏春氏は、実に100以上もの事典を調査された。そしてその調査結果と考察をPDF化し、ドロップボックスにて公開された。

 吸血鬼解説をしている身からすれば、前回の件だけで満足してしまったことに大いに反省させられる次第である。

 奏春氏の調査結果は年代順に一覧になっており考察もついているので、それを見れば”vampaire”という単語の日本語訳の変異が一目瞭然になる。奏春氏が公開したものには考察がついているが、吸血鬼解説者の私が個人的に興味を覚えたこと、おもしろいと感じたこと、奏春氏が触れていないことをなどを、項目ごとに補足解説していきたい。なるべく年代の古い順に解説していくが、どうしても前後することはご容赦頂きたい。かなり長くなるので、数回にわたって連載していく。(連載期間は不定期。だがすでに原稿は出来ている。)

 ということでまずは、烏山奏春氏の調査結果をご覧頂きたい。その方が理解がより深まるだろう。特にこの記事をPCで見ているときは、「vampire訳一覧.pdf」も交互に見ていくと理解し易いだろう。

烏山奏春氏のドロップボックスへ

上記URLでの公開停止。
現在はこちらで再掲しております(2019年4月18日現在)

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英語に"vampire"の語が入ったのは1734年ではなかった?【ゆっくりと学ぶ吸血鬼第7話、13話の訂正記事】

この記事は2018年9月30日に、ニコニコのブロマガにて投稿した記事を移転させたものです。下記は元記事のアーカイブ。

web.archive.org


 いつも「ゆっくりと学ぶ吸血鬼」をご覧頂き、誠にありがとうございます。
今回は第7話と第13話その1で紹介していた内容の訂正させていただこうと思います。

動画はこちらから

 


 第7話では近代国家で最初に正式に公的記録として残された吸血鬼事件、1725年ペーター・プロゴヨヴィッチ事件1731年(発端は数年前)のアルノルト・パウル事件を紹介させて頂いた。

 西欧ではヴァンパイア=吸血鬼と呼ばれる伝承は18世紀になるまでは(あまり)知られておらず、現在「吸血鬼」を表す英語”vampire”もなかった。この英単語は1734年オックスフォード英語辞典(略:OED)に掲載されたのが最初と解説した。

 ところがゆっくりと学ぶ吸血鬼第13話で再び同じ話をしたとき、「OEDが出来たのはもっと後だから違う」との指摘を頂いた。結論から言えばこれはご指摘の通りで、私の勘違いだった。

 確かにOEDは編纂が始まったのがそもそも1857年と、一世紀も後だ。そして私が解説において参照したのは、ポール・バーバー著「ヴァンパイアと屍体」だ。
 P10に「そもそも吸血鬼(vampire)という語が英語に入ったのが、オックスフォード英語辞典に”よれば”1734年」と、確かに書いてあった。

 ハイド・クロフォード著「The Origins of the Literary Vampire Kindle版」No.100にも同様の記述があったし、英語wikipediaの「vampire」の記事においても、「OEDによればvampireという単語は1734年から1774年にかけて英語での民俗学的使用を記録している」という記述がある。

 これを私は「vampireという単語は、1734年”OEDによって”掲載された」と読み替えてしまっていた。こんな初歩的なミスを、しかも第7話の動画では堂々とサムネイルにしてしまい、本当に恥ずかしい限りである。視聴者の皆様には間違った情報を伝えてしまい、本当に申し訳ありませんでした。こうした情報発信をしているものとしては、こうした間違いは本当に犯してはならないと深く反省する次第です。

 ところでもう一つ指摘があったのは英語での初出は1732年だからオックスフォード英語辞典の記述も間違いなんだよなあ」というもの。これも指摘されて、初めて「そういえばおかしい!」と気づいた。

 第7話ではアルノルト・パウル事件が、欧州各地に広まっていったことを解説したが、そこではジャン・マリニー「吸血鬼伝説」(1994年)を引用して次のように解説していた。

王宮で読まれていたオランダ・フランス系の雑誌『ル・グラヌール』の1732年3月3日号では、豊富な資料を載せてアルノルト・パウル事件を紹介したという。

中略

同年(つまり1732年)、イギリスでもロンドン・ジャーナルが3月11日『vampire』という言葉を用いて、吸血鬼を紹介している。

第7.5話ではエリック・バトラー・著「よみがえるヴァンパイア」(2016年)においても、


『ザ・クラフツマン誌』において吸血鬼が紹介されたが、そこでは笑い飛ばされた。


という解説を見た。それが発行された正確な年月を調査したところ、リスター・マセソン著「Icons of the Middle Ages: Rulers, Writers, Rebels, and Saints(第1巻)」より、1732年5月20日号の「ザ・クラフツマン誌」に書いてあることまで当時既に突き止めており、動画で紹介していたのだった。

 自分で解説動画を作っておきながら、なぜこの矛盾に気が付かなかったのか不思議で仕方がない。1732年には既にイギリスで、ロンドンジャーナルとザ・クラフツマン誌において「vampire」(vamyre)という単語が使われていたのだ。


※動画でも解説したが、この当時のvampireのスペルは定まっておらずvampyre表記もある。Vampyreの表記は、特別だったり強力な吸血鬼を表すのに今でも使われている。(参考:マシュー・バンソン「吸血鬼の事典」:(実際に使われているPS4のゲーム「vampyr」

 今回の指摘を受けて本当に1732年の当時の英文紙面に「vampire」があったのかを探るべく調査してみた。1732年のロンドン・ジャーナルは見つからなかったが、ザ・クラフツマン誌1732年5月20日号は、画像を掲載するサイトを見つけ出すことができた。


 画像を掲載していたサイトでは、クラフツマン誌で紹介された吸血鬼について簡単な解説がなされている。

 他にもGoogleブックスで見つけたこの著書においても、「vampireという単語は1732年にできた」というような解説があった。

 そして偶然見つけた別の海外サイトでは、日本の書籍では見たことのない情報もあった

 イギリスにおいて1732年3月11日号のロンドンジャーナルと同じ3月に、別の媒体が吸血鬼を紹介していたのだ。それは「The Gentleman's Magazine:ザ・ジェントルマンズ・マガジン」1732年3月号第2巻だ。先ほどのサイトの解説によるとP681には

『ヴァンパイア』と呼ばれる特定の死体が、血をすべて吸うことによっていくつかの人を殺したことがある」と報告している。

と解説がある。先ほどのサイトには当時のThe Gentleman's Magazineを掲載するサイトが紹介されていたが、画像が表示されなかった。だがこれもGoogleブックスに当時の紙面の画像コピーが掲載されていたのを発見した。



 確かにP681に「vampyre」の説明がある。以上からオックスフォード英語辞典が「英語にvampireという単語が入ったのは1734年」とした理由は不明だった。

 これをさらに調査してみたところ、GoogleブックスにおいてSharon M. Gallagher著「The Irish Vampire: From Folklore to the Imaginations of Charles Robert Maturin, Joseph Sheridan Le Fanu and Bram Stoker」のサンプルを見つけた。

 そこの解説によると、1745年The Travels of Three English Gentlemen(3人の英国紳士の旅)が、「vampyre」が初めて英語で登場したテキストとされる、というような紹介をしていた。そこでGallagherは1600年から1950年までの英文新聞を「vampire OR vampyre」の単語で検索をしたところ、次のような結果が得られた。

 Grub Street Journal contained(グラブ・ストリート・ジャーナル)1732年3月16日版には、1731年のハンガリーにおいて吸血鬼に人が殺された云々という説明があった。つまりアルノルト・パウル事件が紹介されていたのだ。

Gallagherは

これが最初に英語で「vampyre」が印刷された確かな例とは言えないが、10年後の1745年の「3人の英国紳士の旅」に先行しているから結論は出せない。

というようなことを述べている。(ここら辺はGoogle翻訳と辞書片手に翻訳したが自身がない)

 このように日本の書籍では見かけない新たな説が出てきた。だがこれを見る限りではオックスフォード英語辞典が1734年としたのは、吸血鬼の本場海外の研究者(評論家)から見ても不可解に思っていることは確かなようだ。

2018/10/1追記
 以前から所持していたマシュー・バンソン「吸血鬼の事典」(1994)にも、『英国三紳士の見聞録』という見出し語で掲載されていたのを発見した。

1745年にロンドンで出版された。英語において vampyre なる単語が用いられた最も初期の例の一つ

 「最も初期の例の一つ」という書き方が何ともいやらしい。吸血鬼の事典でも1732年にアルノルト・パウル事件が西欧諸国で広まったことも解説している。この時はすでにvampire,
vampyre表記入り乱れている。だからなぜ1745年なのに「初期の例の一つ」と紹介したのか根拠が知りたいところ。
 ただマシュー・バンソンは本来は宗教関係の研究者であり、どうも吸血鬼は趣味で調べているようだ。そして吸血鬼の事典は二次資料からの引用も多く、一次資料を調べていないのが見受けられる(それを詳しく解説した記事)
 だからマシュー・バンソンも他の参照文献からそのまま引用しただけなのだろう。『英国三紳士の見聞録』は最初期にvampyreという言葉を使った例という認識が、海外ではあることが確認できた。ただその根拠を解説している書物はあるのか。そして明らかに1732年にも使用例があるので、その矛盾点を突く解説が現地にあるのか気になるところ。これ以上は海外の吸血鬼解説本を調査するしか、今のところ手立てはない。

追記ここまで

これ以上の調査となると、海外の吸血鬼解説本や当時の英国の新聞や雑誌を総当たりするしかないので、ここまでとしたい。以上、間違った解説の調査をしていたら、思わぬ情報を見つけ出したことは収穫だった。

 1731年のアルノルト・パウル事件は、欧州ではこぞって1732年に紹介された。イギリスにおいてはロンドン・ジャーナル紙とザ・クラフツマン誌が紹介していたというのは知っていた。だが同じ年にザ・ジェントルマンズ・マガジン、クラブ・ストリート・ジャーナルという雑誌も紹介していたということは、日本の吸血鬼解説本では見たことがなく、今回の調査で初めて知った。

 こうしてみると、日本では吸血鬼と言う存在はサブカルチャーにおいてポピュラーな存在なのにもかかわらず、こうした吸血鬼の歴史における部分はまだまだ全然伝わっていないな思わされる。こうした情報を少しづつでも発信し続けるように、頑張りたいと思います。



 さて動画の13話その1やその2では「吸血鬼という言葉の成り立ち」について、他にも色々間違った解説をしてしまった。動画内では動画を作る上で基礎調査を行われて情報提供してくださった烏山奏春氏自ら訂正コメントされているが、きちんと訂正解説を行おうと考えていた。だが動画は作るのに時間がかかるし、その内容はもともとブロマガ記事でも発信しようと考えていたので、その記事をもって動画の内容も修正した完全版とさせて頂きたい。

 とくに今回は、烏山奏春氏がご厚意により情報提供してくださったのに、単純な早とちりにより間違った解説をした挙句、奏春氏のお手を煩わせてしまったため、余計に恥ずべきものだと猛省しております。今後はこういったミスがないように、動画作りに励んでいきたいと思います。

 というわけで次は、ゆっくりと学ぶ吸血鬼第13話①~③で紹介した、vampireの訳語の移り変わりについて、何回かに分けて投稿していく予定です。

原稿は出来たので、初回は近日中に投稿予定です。

 

 

ゆっくりと学ぶ吸血鬼 第13話後半 参考文献一覧

この記事はブロマガで投稿したものを移転させたものです。
下は元記事のアーカイブ。
web.archive.org

 

ゆっくりと学ぶ吸血鬼第13話④以降の参考文献です。
13話③までの参考文献はこちらへどうぞ

投げ銭による支援を頂ける方はOsuseかユグドアにてお願い申し上げます。
Ofuseはこちらから→https://ofuse.me/#users/5131
ユグドアはやり方はちょっと面倒なので、こちらを参照してください



 上記youtubeの動画は、1971年に西ドイツで製作された吸血鬼セックスコメディ『バンパイア・ハプニング/噛みついちゃってごめんなさい』 (独: Gebissen wird nur nachts・英: The Vampire Happening)という映画で、 死霊の恋(クラリモンド)を元にした映画。海外サイトを調べてみたが、本当にこんなふざけた副題がついているのかは謎。ここでクラリモンドは、吸血鬼の娼婦として修道士を誘惑するというサイドストーリーがある。

 他にも、テレビシリーズ『ザ・ハンガー』 (The Hunger) のためにジェラルド・ウェクスラーが書き下ろした1998年のエピソード「クラリモンド」は、ほぼ原作に忠実な翻案であったが、クラリモンドはセックスによって美を保っているサキュバス・年を経た魔女として描かれているとか。見たことないから何とも言えないが、原作にほぼ忠実であれば中途半端なことはやめて忠実にしてほしかった。

動画はこちらから


~Web上で読める主要な作品・重要参考文献~

死女の恋 フランス語原文(PDF)
 昔はHtmlでも公開しているサイトがあったが、リンク切れになった。

Novells掲載(中短編小説集):死女の恋/1845年 Novellsの表紙ページ
 ラフカディオ・ハーンがクラリモンドを英訳する際、底本としたもの。

ルヴェー・ピトレスク :死女の恋/1850年版
 ルヴェー・ピトレスク紙掲載の「死女の恋」ここではゴーティエ自ら題名を「死女の恋」から「クラリモンド」に変更している。リンク先は最終ページに飛ばされるようになってるので、各自でスクロールしてみてください。

tomokilog - うただひかるまだがすかる  
 フリー翻訳家:山林智樹氏による、クラリモンドの訳本の一覧。ここにあるのがすべてはないが、同じ個所の訳文を紹介しているので、訳本を選ぶ際の手助けになる。

芥川龍之介訳・クラリモンド:青空文庫・ハーン英訳より
岡本綺堂訳・クラリモンド:青空文庫、ハーン英訳より
近代書誌・近代画像データベース
 久米正雄名義の新潮社の「クレオパトラの一夜」の画像、10番目にあり。翻訳の際、ラフカディオ・ハーンの英訳を用いたと記した部分が掲載されている。

ハーン英訳:クラリモンド:プロジェクト・グーテンベルグ(アメリカ版青空文庫)
 kindleやEPUB形式で読みたい場合はこちらをクリック

知られぬ日本の面影:原著:ハーンが脚注にて雪女を血を吸う存在と説明したページ。
 638ページの下部に「雪女は血を吸う存在(要約)」と述べている。掲載先のハーティトラストについては日本語wikipediaの解説など参照。

小泉八雲全集第3巻:知られぬ日本の面影・日本語訳
 国立国会図書館デジタルコレクション:上記の日本語訳
 kindle版はこちらをクリック(幽霊と化け物が掲載された巻)
 角川ソフィア文庫のものは読みやすいが、雪女が血を吸うという注釈が省略されている
 
田部隆次訳・小泉八雲の雪女(青空文庫)

~論文~(すべてPDFなので閲覧時は注意)

仏文学と国文学の橋渡しとしてのラフカディオ・ハーンの役割 :
 ゴーティエ・ハーン・芥川の流れを例として:大妻女子大学:村松恒教授
 ハーンがクラリモンドを英訳する際、1850年版のものは題名を死女の恋からクラリモンドに変えているからハーンは英訳する際、1850年版を底本したのではないかと述べている。

 だが大正大学の佐竹・内田両教授の研究によってハーンが底本としたのは、題名がまだ「死女の恋」としている1845年版であることが突き止められている

「雪女」の"伝承"をめぐって : 口碑と文学作品
 成城大学:牧野陽子教授 こちらよりは下記のほうが見やすい
 内容は遠田勝「〈転生〉する物語―小泉八雲「怪談」の世界」が論文にはあるまじき、情報操作、印象操作を行っているので、それを反証していったもの。今回の論文のなかでは色んな意味で一番面白い。

文化表象のグローカル研究:研究成果中間報告(PDF直リンク)
 こちらは上記・牧野教授の同じ論文が掲載されている
 PDF178ページより牧野教授の論文、他の人の論文もあるがこちらの方が見やすい

雪女はどこから来たか:静岡県立大学:大澤隆幸教授
 ハーンの雪女の成立に関しての研究。

ラフカディオ・ハーンのゴーチェ作品「クラリモンド」の受容をめぐって(PDF直リン)
 日本大学:梅本順子教授
 CiNiiに論文名はあるが、なぜかCiNiiからPDFがリンクされていない。ハーンのクラリモンドの英訳事情、英訳後のハーンの創作の影響などを解説。これも個人的にはかなり面白く読めた。

テオフィル・ゴーチエの幻想小説の世界
 成城大学:金沢公子名誉教授、ゴーティエ関連。
 

~wikipedia~

テオフィル・ゴーティエ ・小泉八雲 ・ギ・ド・モーパッサン 
ヴィクトル・ユーゴー ・フィリップ・バーン=ジョーンズ 
エドワード・バーン=ジョーンズ ・ラッドヤード・キップリング ・夏目漱石 ・川田順
死霊の恋(クラリモンドの作品のこと) ・サルダナパールの死 ・ベルシャザル 
コンチーノ・コンチーニ ・クルチザンヌ ・ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 
フランチェスコ・フォスカリ ・十人委員会 (ヴェネツィア共和国) ・トンスラ 
ヴェネツィア共和国の歴史 ・ヴェネツィア共和国 ・マリー・デュプレシ 
ポンパドゥール夫人 ・デュ・バリー夫人 ・コーラ・パール ・公妾 
芥川龍之介 ・谷崎潤一郎 ・文芸的な、余りに文芸的な ・フアン・ポンセ・デ・レオン
怪談(小泉八雲) ・知られぬ日本の面影 ・小松和彦 ・松谷みよ子 ・浦島太郎 
和解(小泉八雲の小説) ・雪女 ・怪異・妖怪伝承データベース 
北越雪譜 ・鈴木牧之 

~海外wikipedia~

Philip Burne-Jones ・Mrs Patrick Campbell ・Bataille d'Hernani 
One of Cleopatra's Nights and Other Fantastic Romances 
La Morte amoureuse(フランス語) ・La Morte amoureuse(英)
La morta innamorata(死女の恋:イタリア語)→で紹介していた吸血鬼解説本
The Vampire Happening(記事の最初に掲載したクラリモンドを登場させた映画)
 この記事を見る限り、クラリモンドの映画は色々作られている模様。

La Chronique de Paris ・Beongcheon Yu 
One of Cleopatra's Nights and Other Fantastic Romances 

~参考サイト・日本語~

兵庫県芸術文化センター:ヴェルディ 椿姫講演情報
 高級娼婦:クルチザンヌについての解説。

高級娼婦の豆知識(フランス)
 Naverまとめだが、ここから鹿島茂・著「職業別 パリ風俗」に行きついた。

macaroni:シェリー酒の起源について

吸血鬼の物語こちらのページも参照:山梨大学:森田秀二教授のホームページ
 吸血鬼の様々な話題がある。今回でいえばユリイカに掲載していた藤原万巳の「雪女と吸血鬼」の関係について紹介している。雪女とクラリモンドの関係を調べるうえでとっかかりとなったサイト。(ちなみに動画づくりを始める前からこの解説を見て「へぇ~」と思っていました)

谷崎潤一郎氏:青空文庫、芥川龍之介が谷崎を語ったもの
キリスト栄光教会:ヨブ記について参照
旧約聖書メッセージ:ヨブ記について参照

~参考サイト・海外~

art of the beautiful-grotesque:バーン=ジョーンズ親子、セダ・バラの解説
サイト名不明:ジョーンズの吸血鬼とセダ・バラの関係について
ArchiThea les Greniers de l'Archipope:エルナニの戦いの解説
Miklos:エルナニの戦いの解説
xulux:フランスのサイト:クラリモンドの解説、石版画の作者を紹介している。
個人のブログ?:こちらも石版画の作者:ローレンスを紹介していた。
mindshadow:フランスのサイト:クラリモンド他、ポリドリの吸血鬼などの解説もあり
ゴーティエの原著画像が掲載されているページを紹介したサイト
個人サイト:クラルモンドが米国では「Love in Dead Woman」という題名がある


~参考書籍~

『吸血鬼の事典』:マシュー・バンソン・著/松田和也・訳/青土社/1994年
『吸血鬼幻想』:種村季弘/河出文庫/1983年
『図解吸血鬼』:森瀬 繚、静川龍宗/新紀元社/2006年
『血のアラベスク 吸血鬼読本』:須永朝彦/ペヨトル工房/1993年
『萌える!ヴァンパイア事典』:TEAS事務所/(株)ホビージャパン/2015年
『吸血鬼伝説』:ジャン・マリニー・著/池上俊一・訳/創元社/1994年
『伝奇ノ匣9 ゴシック名訳集成 吸血鬼妖鬼譚』:東雅夫・編/学研M文庫/2008年
『書物の王国12 吸血鬼』:須永朝彦・東雅夫編纂/国書刊行会/1998年
『血と薔薇の誘う夜に 吸血鬼ホラー傑作選』:東雅夫編/角川ホラー文庫/2005年
『幻想文学大事典』:ジャック・サリヴァン著/翻訳: 高山 宏ほか/国書館書店/1999年
『フランス幻想小説 吸血女の恋』:ゴーティエ/小柳保義・訳/現代教養文庫/1992年
『フランス幻想小説 魔眼』:テオフィル・ゴーティエ/小柳保義・訳/現代教養文庫/1991年
『遊女クラリモンドの恋』:野内良三・編訳/旺文社文庫/1986年

『英-仏 クラリモンド』:L・ハーン英訳/佐竹龍照・内田英一・訳注/大学書林/1997年
『英-仏 モーパッサン短編選集』:ハーン英訳/佐竹龍照・内田英一・訳注/大学書林/1988年

上記二つは学術書のため入手困難。大学の図書館にならあるかも。モーパッサンの方は、ハーンとモーパッサンが同じ神学校に通っていたことを説明している。

『ラフカディオ・ハーン 異文化体験の果てに』:牧野陽子/中公新書/1992年
『【復刻版】小泉八雲の「知られぬ日本の面影」(四・完結)』:小泉八雲・著/翻訳者省略/響林社文庫/2015年Kindle版/(もとは1931年発行)、ただし知られぬ日本の面影自体は、国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能(上記にリンクあり)

『新編 日本の面影 Ⅱ』:ラフカディオ・ハーン著/池田雅之・訳/角川ソフィア文庫/2015年
→上記でも書いたが、こちらには「雪女が血を吸う」という脚注は省略されている。

『ラフカディオ・ハーン著作集第9巻 人生と文学』:恒文社/1988年
『ユリイカ 1995年 4月 増頁特集 vol.27-4』/青土社/1995年(ムック本)
『パリ風俗』:鹿島茂/理想社/1999年
『図解雑学 日本の妖怪』:小松和彦・編著/ナツメ社/2009年
『谷崎潤一郎全集 第6巻』:谷崎潤一郎/中央公論新社/2015年
『谷崎潤一郎怪異小品集 変身綺譚集成』:谷崎潤一郎/東雅夫・編/平凡社ライブラリー/2018年

お勧めの吸血鬼解説本です。見た目とは違い内容は本格的です。

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『吸血鬼』という和製漢語を生み出したのは南方熊楠…という説が覆った!専門の評論家からのお墨付きも頂きました

普段何気なく使っている吸血鬼という単語。この単語は和製漢語であり、日本で作られたと考えられています。そしてこれまでの定説であった、南方熊楠造語説が覆りました。そしてとある評論家の方からも新発見であるとのお墨付きを頂くことができました。今回はその経緯を紹介していきたと思います。

 実は『ゆっくりと学ぶ吸血鬼 第13話①~③』で既に解説済みです。ですが今回この発見はこれまでの定説が覆った大変貴重な情報であり、どの本でも紹介されていません。文字でも残しておきたく、今回記事にすることにしました。かなり長い記事となりますが、ご容赦下さい。

この記事は2018年5月8日にブロマガで投稿した記事を移転させた記事です。 下は元記事のアーカイブ

web.archive.org

【目次】
『吸血鬼』という和製漢語を生み出したのは南方熊楠…という説が覆った!
英語ヴァンパイアの最初の翻訳は「吸血鬼」ではなくて『蛭』だった! 
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ゆっくりと学ぶ吸血鬼 第12.5話の参考文献

この記事は2018年3月10日にブロマガで投稿した記事を移転させたものです。
下は元記事のアーカイブ

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ゆっくりと学ぶ吸血鬼 第12.5の参考文献です。
すっかり忘れてました。
最新作は6割程作れたと言った感じです。もうしばらくお待ちください。

【関連記事】
吸血鬼小説・ティークの『死者よ目覚めるなかれ』の日本語訳のご紹介
最初の吸血鬼小説&最初の女吸血鬼小説『死者よ目覚めるなかれ』の解説
吸血鬼小説『死者よ目覚めるなかれ』の作者はティークではなくて別人だった!本当の作者とは!?
エルンスト・ラウパッハ、吸血鬼小説『死者よ目覚めるなかれ』の本当の作者について
世界初の女吸血鬼の小説は『死者よ目覚めるなかれ』ではなく、E.T.A.ホフマンの『吸血鬼の女』だった?

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「ディオダティ荘の怪奇談義」をモチーフとした舞台『BLOODY POETRY(ブラディ・ポエトリー)』を見てきました

前回の記事で言ったように、拙作『ゆっくりと学ぶ吸血鬼 第12話』で紹介した、ディオダティ荘の怪奇談義をモチーフとした舞台『BLOODY POETRY』を観劇してきました。(劇団:アン・ラト(unrato) 

ゆっくりと学ぶ吸血鬼 第12話

この記事は2017年2月19日にブロマガで投稿した記事を移転させた記事です。
下は元記事のアーカイブ。

「ディオダティ荘の怪奇談義」をモチーフとした舞台『BLOODY POETRY(ブラディ・ポエトリー)』を見てきました:ノセールの吸血鬼解説ブロマガ - ブロマガ

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『ディオダティ荘の怪奇談義』をモチーフとした舞台が、日本で初公演されます!

ゆっくりと学ぶ吸血鬼をいつもご覧頂きありがとうございます。
新作の動画はリアルが忙しくて作成に中々時間を取れずに、鈍行で進んでいる状態です。
楽しみにされている方には大変申し訳ないです。

 さて「ゆっくりと学ぶ吸血鬼 第12話」では、吸血鬼を語る上では絶対に欠かせない『ディオダティ荘の怪奇談義』を解説したことを、皆様覚えているでしょうか?
今回、その「ディオダティ荘の怪奇談義」を再現する劇が日本で上演されるという情報をとある方から教えて頂きました。私の動画を視聴下さっている方には当然興味を持つ方もいらっしゃるでしょうから、今回ご紹介することにしました。

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