マルシュナーのオペラ「吸血鬼」の各ルスヴン卿
前回の続きより。1828年に初演されたウォールブリュック台本、作曲ハインリヒ・マルシュナーのオペラ「吸血鬼」”Der Vampyr”。現在はハンス・プフィッツナーの1924年改稿版が通常上演される。21世紀でも上演されており、Youtubuでもいくつか公開されている。まずは各オペラの吸血鬼ルスヴン卿の画像を見て頂きたい。前回記事でも述べたが、ドイツ語の発音ではルートヴェン卿あるいはルートフェン卿となるが、イギリスのジョン・ポリドリの小説「吸血鬼」のルスヴン卿が元ネタなので、ここでは今までの解説の経緯も含めてルスヴン卿で統一する。
上記は全部マルシュナーのオペラ「吸血鬼」に登場する、吸血鬼ルスヴン卿である。つまり、同一人物であるが……
2008年だけおかしーだろ!なんだよこれwww
日本に喧嘩売ってんのか!!!
はじめのページでも紹介したけど、「日光が平気な吸血鬼はおかしい」とか「弱点のない吸血鬼やめろ」などという人たちがいるけどさ、そんなニセ吸血鬼警察たちに是非とも主張しておきたい。
おめえら、ケツの穴が小せえ!!!!!!
もう一度言う、ケツの穴が小せえ!!!!!!!!
フランス人はこれを吸血鬼と言い張ってるんやぞ、これを!!
「日光が平気な吸血鬼おかしい」「弱点のない吸血鬼おかしい」とか、ちいせえことでいちゃもんつんなや!そもそも原作のドラキュラからして日光平気だし、ドラキュラ以前の吸血鬼は弱点無しってのも多いんだよ!別におかしくねえんだよぉ!「アニメや漫画で仕入れた浅い知識」で文句いう暇があるならさ、まずフランス人が作ったこれに文句言え!!!これに!!!
日本を「フジヤマ、ハラキリ、ゲイシャ」の国と誤解してるこれのほうが、よっぽど問題だ!!!!
私は常々「原作ドラキュラは日光平気、そもそも吸血鬼の歴史なんて好き勝手にやってきた歴史なんだから、吸血鬼なんて好き勝手に設定しろ」と主張してきた。だがそんな私でも、上のポン刀持ったKABUKI風クソ吸血鬼に関しては「ふざけんなwww」という感想しかでてこない。多くの日本人が知らないところで、フランス人はやらかしてくれている。
そしてこのクソ吸血鬼以上にインパクトがあるのがこちら。
最初見たときの私の反応だが「このひと一人でルスヴン倒せるやろw」と腹を抱えて貰った。いや、こんなん卑怯やわwww先ほどのポン刀持った吸血鬼なんて霞んでしまうwww
実際この例の奥さんの映像はもうインパクトがありすぎます。
とまあ前置きはこのぐらいにして、解説していこう。前回紹介したマルシュナーのオペラ「吸血鬼」。これはいくつかyoutubeに全編アップロードされているので、それぞれを紹介していこうと思う。皆さんが一番知りたいであろうハラキリ風クソオペラは、最後に解説しよう。
2022年1月6日追記
Youtube上にあるオペラ「吸血鬼」の一部シーンを比較する動画をニコニコ動画に投稿したので、よろしければそちらもご覧ください。
歌詞の翻訳をつけ、大まかなストーリー解説も入れたので、全体の流れが大まかに把握できるかと思います。
追記ここまで
至ってノーマルなオペラ「吸血鬼」
まずは何の捻りもいれていない、いたって普通なオペラ「吸血鬼」を紹介しよう。
上記は、「ロサンゼルスのリリックオペラ」”Lyric Opera of Los Angeles”、略してLOLAが2002年に上演したものだ。LOLAは英語wikipedia記事も存在しておりそこを読むと、ロサンゼルスに拠点を構えている、非営利オペラ会社だという。衣装やセットがやけに安っぽいのは、非営利故だからである。見て分かるように、台本に忠実な衣装とセットを選んでおり、至って普通な上演だ。何の捻りもないと言われればそれまでだが、この後紹介するものらと比べると、「普通」がいかに素晴らしいかがよくわかるというものだ。
”イチモツ”をさらけ出した現代アレンジ版
次ぎに紹介するのは、性的なシーンがあるので注意。それどころか男のイチモツ、ぶっちゃけ無修正チン〇が出てくるので、視聴は自己責任にて。微妙に汚いケツが映るシーンも。前まではいつでも視聴できたのに、つい最近年齢制限がかかったようで、youtube上でログインした状態でないと視聴できなくなってしまった。たぶんチン〇のせい。むしろようやく規制したかという感じだ。
こちらは現在、youtubeのワード検索に引っかからなくなってしまった。
別の人が同じ動画を挙げており、こちらは2021年8月8日現在、youtube上の検索にもヒットするが、やはり年齢制限あり。
1992年、イギリスBBCで放映されたソープ・オペラで、舞台を中世から現代に翻案した現代アレンジしたものだ。吸血鬼ルスヴン卿は、ビジネスマンの吸血鬼リプリーに変更されている。英語wikipediaには”The Vampyr: A Soap Opera”という名で記事も存在している。
ソープ・オペラはWeblio辞書だと「(テレビ・ラジオの)メロドラマ」とある。ソープ・オペラは簡単に言えば英語における「昼ドラ」にあたる言葉だ。ただ、厳密な翻訳としては昼ドラ=soap operaではなく、昼ドラという別個の英語表現も可能であるという。ソープ・オペラは通常は歌のない昼の連続ドラマであるようで、今回紹介したBBCの「吸血鬼」は、たまたま文字通りの歌劇としてのオペラ作品だったということになるようだ。
ソープ・オペラの起源は、1930年代のアメリカのラジオ番組シリーズ「melodramatic radio serials」が発端。CMに石鹸や洗剤メーカーが付くことが多かったことから、次第にソープ・オペラと呼ばれるようになったという。日本でも進出している企業だと、P&G社が出資していた。アメリカから始まったソープオペラはイギリスにも伝わり、イギリスでも長寿番組を生み出すほど人気を得ることになった。ソープオペラに関してもっと知りたい方は、下記サイトを参照して欲しい。
・ソープオペラとは - コトバンク
・ソープ・オペラとは - コトバンク(左とは別記事)
・昼ドラ - Wikipedia
・Soap opera - Wikipedia
・「Soap opera」ってどんなオペラ? | マルチリンガル革命! <英会話・仏会話+α>
・Google検索「ソープオペラ イギリス」
ソープ・オペラ版「吸血鬼」の概要は、先ほど紹介した英語のwikipedia記事を機械翻訳で見てもらったほうが早いが、それでも要点を掻い摘んで紹介していこう。元の舞台は18世紀のスコットランドだが、このオペラでは現代を舞台としたアレンジバージョン。吸血鬼ルスヴン卿を筆頭に、全ての登場人物の名前が変更されている。このオペラは元はと言えば、ポリドリの小説「吸血鬼」から始まった派生作品。もとのポリドリの「吸血鬼」を含め、当時の吸血鬼には吸血鬼の特徴的な牙の設定はなかった。だが上記画像を見て分かるように、今や常識となった「吸血鬼の牙」が付け加えられている。吸血鬼リプリーは18世紀後半に封印されたが現代になって蘇ったという設定。登場人物名や時代は変更はされてはいるが、祖筋は元のウォールブリュックの台本に沿っている。元の台本では、現世に残りたければ期限内に3人の花嫁を生贄を捧げよと吸血鬼の頭領(Vampyre Master)に言われる。英語が分からないがソープオペラ版でもたぶん、一緒のことを言われている。元の台本では1人目の犠牲者を殺したところで、その父に見つかってしまい刺されて死にかけたところ、オーブリーが通りかかったので「月光の当たる場所に連れていって欲しい」と頼む。そしてこのことを口外しないよう、ルスヴンはオーブリーに誓約をかける。誓約してしまったオーブリーはルスヴンが実は吸血鬼であったということを言えなくなってしまう。それに対しソープオペラ版では、一人目の犠牲者を殺したところですぐに警察が嗅ぎつける。当然吸血鬼リプリーは逃げるが、逃走途中に車にひかれて瀕死の重傷を負ってしまう。そして偶然(?)通りかかったアレックスに「月光(ムーンライト)」と呟き、月光を浴びせるようにと頼む。こちらは誓約ではなく、秘密を洩らせば天罰*1を食らわせると脅す。オペラのもととなった1819年のポリドリの小説「吸血鬼」では、吸血鬼は月光を浴びると復活するという設定があった。その設定が踏襲されている訳だ*2。
途中端折って、クライマックスのシーン。元のオペラではオーブリーの恋人マルヴィーナとルスヴンの結婚式にオーブレーが乱入、オーブリーはなんとか邪魔をしようとするが、ルスヴンは誓約を思い出せと脅す。もう間に合わないと思われた瞬間、吸血鬼マスターとの約束期限が過ぎたことを告げる鐘が鳴る。空かさずはオーブレーは、ルスヴンが吸血鬼であると叫ぶ。マスターとの約束を守れなかったルスヴンは当初の取り決め通り、地獄へと引きずり込まれていく。晴れてオーブリーと恋人マルヴィーナは結ばれる。ソープオペラ版も大体似たような感じだ。リプリーとミランダの結婚式に乱入したアレックスは、リプリーが吸血鬼であることを告げると、教会に落雷が発生、十字架が倒れてリプリーを貫き、そのまま吸血鬼は死ぬ(位置的にミランダも串刺しになってもおかしくないと、いつも見るたびに思う……)。そしてアレックスとミランダは結ばれる、という内容だ。このように細かい点は違うものの、祖筋はウォールブリュックの台本に沿っていることが伺える。音楽面での変更点は、元のマルシュナー版にあった合唱パートがほぼなくなったのが大きな特徴だ。
ソープオペラ版の特徴としては、洋画によくあるようなベッドシーンがあること。女優さんが普通に乳首をさらけ出している。そしてなんといっても、吸血鬼リプリーの無修正チン〇が映し出されるシーンがあることだ。問題のシーンは、車にひかれて瀕死の重傷を負ったリプリーが、アレックスに月光を浴びせて貰い復活したシーン。血だらけ体をシャワーを浴びて血を流すのだが、そこでイチモツが映し出されてしまう。それはちょうど33分あたりに、はっきりと映し出されている。
その問題のシーン。視聴は自己責任にて。
他にも、主人公アレックスの微妙に汚いケツが鏡越しに映るシーンもあるので、それらを覚悟の上視聴願いたい。
これを視聴された方の中には「吸血鬼なのに昼間でも普通に活動している」と、おかしく思う方も中にはいらっしゃるかもしれない。いまや吸血鬼と聞けば「日光を浴びると灰になる」という設定がまず見られるし、日光が平気な吸血鬼を出せば非難轟々になることすらある。だがこれは原作の1819年のポリドリの「吸血鬼」どころか、一般的に有名な1897年の「吸血鬼ドラキュラ」ですら吸血鬼は昼間活動している。日光が弱点になったのは、ドラキュラを原作とした1922年の映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」からである。ノスフェラトゥ以前に日光が弱点という吸血鬼は皆無、もしあれば大発見だ。今回のソープオペラ版は、当然1819年のポリドリの「吸血鬼」が原作であるので、昼間も普通に活動している吸血鬼リプリーは原作準拠であり、なんらおかしくない。
私の初見の感想だが、イギリスのオペラ歌手は、女の人はおっぱいを、男の人は自分のチン〇を公共の電波にさらさなあかんのか……という、身もふたもない感想だった*3。だって仕方がないやん!いきなりチン〇映るんだから!印象それしかのこらねーよ!しかも後年Youtubeにうpされて、全世界に自分のチン〇さらすとか、どんな羞恥プレイだよ!!!てか自分で紹介していて言うのもあれだけど、これYoutubeの規約的に大丈夫なんか!?
右側はyoutubeで全世界に自身のイチモツを晒されてしまった吸血鬼リプリーを演じたオマー・エブラヒムの現在の姿。若いころの写真を見ると色気もある感じだったのが、今ではスキンヘッドになってしまった。髭もたくわえている写真もあり、それはワイルドなオヤジといった風貌だ。wikipedia記事を読むと、専門の音楽学校出身のバリトン歌手で、数々のオペラに出演しており、CDもいくつか発表している。本格的なオペラ歌手であるようなのに、今回のソープオペラでは自身のイチモツをさらけ出すはめになっていた。イギリスのオペラ歌手はチン〇モロ出しさせられるのか……と改めて思った次第である。
ゾンビになった吸血鬼
上記の画像は2016年Opéra-Comique de Berlin(ベルリンのコミックオペラ)で上演されたもの。ここでは吸血鬼ルスヴン卿がだらしない体を晒している。これはyoutubuでは公演丸ごとアップロードはされていないが公式でPR動画が投稿されている。
上記はいずれもベルリンのコミックオペラ公式の動画で、最後は監督を務めた Antú Romero Nunesのインタビュー動画。だらしない体のルスヴンだけをみればネタ枠に思えるが、こうしてみるとホラーチックで意外と悪くないと思うのは私だけではないだろう。先ほど紹介した上から2つ目の動画タイトル”Zombie-Infektion”ゾンビ感染とあるように、ゾンビをモチーフとして演出したようだ。今はなくなったが、以前あったこのゾンビ版オペラを紹介する記事のタイトルに「ゾンビルスヴン」とあったぐらいだ。
「 Tómas Tómasson der vampire」でGoogle画像検索すると、この公演の写真が沢山でてくる。こうして見ていくと、ゴシックでホラーなものを目指していたように思われる。それだけにこのゾンビ版マルシュナーの「吸血鬼」は、全編通して観てみたいと思った。ちなみにフランス語wikipediaにマルシュナーの「吸血鬼」を解説する”Der Vampyr”の記事があるが、そこに上演された例としてこのゾンビ版を紹介している。
日本に喧嘩売ったクソオペラ版
それではお待ちかね、典型的な日本を「フジヤマ、ハラキリ、ゲイシャ」の国と勘違いした、日本に喧嘩を売ったクソオペラ版を紹介しよう。前回の記事でも言ったが、ニコニコ動画では先行してこのオペラを紹介したとき、視聴者からいつのまにか「クソオペラ」と呼ばれるようになった。 下記はニコニコで紹介した時の動画。
上のyoutube動画はマルシュナーのオペラ「吸血鬼」の、2008年フランス公演のもの。フランスのクラシック音楽、ジャズ、ダンス、ワールドミュージックを専門とした音楽番組、メッツォ”Mezzo”主催のもののようだ(英wikipedia版の解説はこちら)。高解像度バージョンであるMezzoLive HDは、ライブまたは録音されたショーやコンサートのみを放送するという。ドイツ語のオペラなので、フランス人向けにフランス語の字幕が表示されている。ただ、監督がハンガリーで劇場を作った関係からか、初演はハンガリーで行われたようだ(参考、ちなみに日本風の演出を批判している)。そして2008年から始まった国際的オペラフェスティバル、アーメル・オペラ・フェスティバルの出場作品でもあるようだ。もちろん、なんの賞も受賞しなかった(あたりまえだ!)。ちなみにMezzoLive HDは、2018年3月よりHulu経由で日本でも視聴することができるようになった(参考)
)。
youtubeには後半部の映像しかなく、前半と歌手へのインタビューはカットされている。どうしても前半部分が見たい私は、2017年にこの公演のDVDを販売しているプレミアム・オペラという、海外のオペラ専門通販サイトを見つけて、個人輸入代行経由で入手してしまった!
Premiere Opera(かつての商品購入ページ、現在はURL失効)
2018年より、商品ページが3つできた。
・DVD 6718 ・DVD 11875 ・DVD 7743
私はDVD6718版を購入した。6718のレビューを見ると、6718はオーディオとビデオの同期に問題が出る場合があるらしく、その場合は11875を購入して下さいというレビューがあった。このDVDをわざわざ2つも購入したキチガイ人物は一体何者なんだろうか?私は6718で普通に再生もできた*4。アメリカからの購入なので輸入代行代理店から「日米ではリージョン・コードが違うから、何回か再生するとDVDプレイヤーのリージョン・コード変更回数制限に引っかかるけど、それでも買いますか?」という注意をもらった。だがいざ再生すると、リージョン・コードの変更は求められなかった。どうやら西ヨーロッパ製らしく、日本とおなじリージョンコード:2が割り当てられていたようだ。
もっときちんとしたケースに入れられているのかと思ったら、そこら辺に売ってそうなソフトケースに入ってきた。しかもDVDの裏面といい、ドライブに挿入した時に出るタイトルが「ソニーDVDレコーダー」と出てくることといい、どうもこれDVD-Rで焼いたんじゃないかと疑惑が……実は海賊版だったりするのかも*5。
ちなみにこの通販サイトでは、先ほど紹介したゾンビ版の音源のみを収録したCDも発売していた。映像も収録したやつはなかった。それでも気になったのでこれも購入した。
商品にマジックペンで手書きで商品番号を書いている。これも海賊版なのかもしれない……
個人輸入代行使っても6千円もかからなかった。皆さんも是非買ってみてください……と言いたいところではあるが、今年2021年になってからサイトリニューアルされた。それに伴い、まずはユーザー登録しないと販売ページにすらいけなくなったのだが、これを書いている現在、ユーザー新規登録する方法がどこにもみあたらない。コンタクトすらログインを求められる。よって現状は、以前にユーザー登録を済ました人しか購入できなくなっている。以前は登録なしのゲスト購入も可能だった。当然、私も登録はしていないので、どうしても販売ページに辿り着けない。DVD-R疑惑も考えると、実はまっとうな販売サイトでなかったのかも……*6
当分はDVDの購入はできない、いやもしかしたら永久に買えないのかもしれない。そうなれば、私はこのクソオペラのDVDを入手した唯一の日本人になるかもしれない…そしてYoutubeにはない前半部分を知る唯一の日本人になってしまったのかもしれない(これ書いた時点ではそう思ったが、投稿直前になってやはり気になって色々検索したら、他にも販売しているサイトがあった。しかもダウンロード販売していた。詳しくは最後に説明する)
と思っていたら、今年2021年4月に、前編も含めたフルバージョンうpしたやつが居やがった!クソ、前半部分を知る唯一の日本人というアドバンテージがなくなったやんけ!
ということで、この2008年フランス版、通称クソオペラ版を解説していこう。まずは各演者たちを素顔も交えて紹介していこう。まずは主人公オーブリー役を演じたMarc Haffnerだ。
マーク・ハフナーがインタビュー?を受けている動画
カラーの本人写真は、以前あったこのクソオペラのハンガリー語インタビュー記事にあったもの。残念ながら、インタビュー記事は削除されてしまった。彼は主人公エドガー・オーブリーを演じたが、別の役柄も演じている。
上記の画像は最序盤のシーン、吸血鬼マスターの画像。復活したルスヴンに「このまま現世に居続けたいのならば、3人の花嫁を生贄にささげよ」と告げるシーン。確かにちょい役だから一人二役は良いとは思うが、主人公オーブレー役の人にやれせることはないだろうに……
こちらのサイトによれば、パートはテノール、2002年にパリ音楽院で賞を受賞、その後は様々な巨匠から教えを受けている。現在はワイルドな風貌になっている。その他詳細は先ほどのサイトを見て貰うとして、お次はヒロイン役を演じたVanessa Le Charlèsを紹介しよう。
素顔の画像は、左はフランス語wikipediaの彼女の記事、真ん中は彼女の公式サイト、右側は現在は削除されてしまったクソオペラインタビュー記事のもの。ヴァネッサ・ル・シャルルは、2006年にパリのCNSMDで優秀賞を受賞、同年、彼女は有名な国際コンクールのプラシド・ドミンゴに選ばれている。wikipediaや彼女の公式サイトの紹介文を見ると今回のクソオペラでマルヴィーナ訳を演じたことを紹介していることから、あのクソオペラは彼女のオペラ歌手としてのキャリアとして誇れるものなようだ。
下:第二犠牲者・エミー嬢
お次は、第一犠牲者ヤンテと第二犠牲者エミーを演じたアイルランドのソプラノ歌手Helen Kearns(ヘレン・カーンズ)。一番下段は、現在消失してしまったクソオペラインタビュー記事のもの。このクソオペラで唯一と言っていいほど、比較的まともな見た目にされた人物。上記画像の違いは分かりづらいが、上がヤンテで下がエミー。大抵の公演ではヤンテとエミーは別の人が演じる。だがこの公演では他の役でもそうだが、一人二役演じる人が何人かいて、このカーンズもその一人だ*7。こちらのサイトで彼女の経歴が詳しく紹介されている。彼女も今回のクソオペラで、ヤンテとエミーを演じたことが紹介されている。2016年以降更新が止まっているが、彼女の公式ツイッターが存在している。
中:ヒロイン・マルヴィーナの父・サー・ハンフリー・ダーフェナウト
下:第二犠牲者の父、農民のオヤジ
この方は一人三役。このバカ殿みたいな役を演じたのは、フランスのオペラ歌手のクリストフ・フェル(Christophe Fel)。個人的に今回のクソオペラで一番クソみたいな造詣にされた人だと思う。素顔は非常に素敵なオジサマ感があるのに、もとの素顔の良さがまったく出ていないバカ殿は酷いの一言。下記サイトに経歴が書かれている。どれも今回のクソオペラについては触れていない。
Cinq questions à Christophe Fel
Christophe FEL (Soliste lyrique international) - Viadeo
Qui suis-je ? | Voix et Communication // Christophe Fel
さてお次はいよいよ、ルスヴン卿役を演じたニコラス・ケイジに似ているNabil Sulimanを紹介しよう。
失礼を承知で言わせてもらいたい。
素顔も面白いってどういうことだよ!!!
落ち武者じゃねーか!!!*8
(下段右は、現在は消失してしまったクソオペラインタビュー記事のもの)
髪を切ったほうがすっきりしてて良いと思うのは、私だけではないだろう。ということで人物紹介。ナビル・スリマンはシリア出身、現在はベルギー在住のバリトン歌手。ダマスカス音楽院とブリュッセル音楽院で学んだ。国際オペラ歌唱コンクールでは、満場一致で第二回大賞を受賞するほどの実力を有する持ち主。若いころの写真は落ち武者スタイルであるが、現在は髪を切っていていい感じ。その他詳細は下記サイトを参照。彼も経歴紹介においては今回のクソオペラには触れていない。
Nabil Suliman - 72th MENTON MUSIC FESTIVAL
Nabil Suliman-Baritone
Nabil Suliman | Opéra National de Lyon
最後に紹介するのはいよいよお待ちかね、皆さんが一番気になるであろう、例の奥さん役を演じたKarine Audebertさんだ。
素顔全然ちがう!綺麗じゃんか!十中八九、フォトショによるものだろう
例の奥さんこと、スーゼ・ブラント役を演じたのは、フランスのオペラ歌手カリーヌ・オードベール。素顔の画像はかつてあった彼女の公式サイトのもの。現在はサイト閉鎖したらしく、見れなくなってしまった。うろ覚えだが彼女の公式サイトの紹介では、オペラの有名な賞を受賞したこともあると書かれていた。かなりの実力派オペラ歌手のようだ。そして彼女の公式サイトにはフォトコーナーがあったのだが、なんとそこでこのクソオペラの高画像写真も掲載していた。彼女にとってはかなり誇れる役柄だったようだ。その写真は喪失前に保存しておいたのでぜひ見て頂きたい。
皆さんにもぜひ公式サイトで見て貰い、謎の感動を味わって欲しかった。ほんとサイトが消失してしまい残念だ。さてここで、各オペラの例の奥さんことスーゼ・ブラント(Suse Blunt)を比較してみよう。また、各オペラの奥さんが出てくる部分の動画も一緒に貼っておこう。ソープ・オペラ版ではスージー(Susie)という名前に変わっている。苗字は明かされていない。
上記のソープ・オペラ版は年齢制限があるので、youtube上でしか視聴できないかも。1時間27分50秒あたりが、例の奥さんのシーン。
うーん、こうしてみるとクソオペラ版はなぜ脱がした!
さて、ついでといってはあれだが、このオペラは台本がweb上で公開されているので、この奥さんが出てくるシーンのセリフを全て紹介しよう。
ドイツ語の台本
www.zeno.org
英訳した台本
opera.stanford.edu
オペラ対訳プロジェクト
w.atwiki.jp
一番下のサイトは、なんと日本のサイト。各オペラを日本語に対訳しようというものだ。残念ながらもとの台本だけを置いただけで、日本語訳はまだ誰も手を付けていない。今回は機械翻訳の精度から、英訳版を元に内容を紹介する。
場面は第二の犠牲者エミーのシーン。その日の午後に行われる農夫ゲオルクとエミーの結婚式のため、村人たちが集まっていた。そこに吸血鬼ルスヴン卿が現れエミーを口説き、ゲオルクが嫉妬、二人は痴話げんかを始める。そこにオーブリーが現れてルスヴンの邪魔しようとするが、やって見せるがいいとルスヴンが嘲笑、オーブリーは絶望する。そして再びルスヴンはゲオルクの目を盗んでエミーを口説き、ついに連れ去ってしまう。その間、村人たちは祝いの席だとしてよっぱらって騒いでいるが、そこにある酔っ払いの妻が「騒ぐんじゃねえ!」と文句を言いに来る。
ここまで言えばわかるだろう。あの例の奥さんは、酔っ払いたちを叱りに来たシーンである。以上までのシーンの解説は「新クローヴ オペラ事典」:白水社(2006)と、京都大学院 森口大地の論文「矮小化されるルスヴン卿 --1820年代の仏独演劇におけるヴァンパイア像--」を参照した*9。ということで、奥さんが出てくるシーンのセリフを、拙い翻訳であるが紹介していこう。なお、奥さんの造詣はどうみても吸血鬼を倒せそうなので、あえて強者のような口調に変えていることをご了承頂きたい。
まずは人物紹介。酔っ払いたちはそれぞれ、トムズ・ブラント、ロバート・グリーン、リチャード・スクロップ、ジェイムズ・ガッズヒル。名前の日本語表記は「新クローヴ オペラ事典」に倣った。そして例の奥さんはトムズ・ブラントの妻、スーゼ・ブラントだ。
酔っ払い四重奏
春になったら飲むべし。
そうすれば、暑くもなく、寒くもない!
そして、ブドウの血が私たちをリフレッシュしてくれる。
そして、ワインの味は2倍になる。
春には、飲むべき。
イエーイ! それが陽気さ。
誰もが至福の中で泳ぐ。
みんなで喜びの声をあげる。
それが結婚式の祝い方だ!
イエーイ!
スーゼ
見つけたぞ、貴様ら!
トムズ
とってもソウルフル(陽気)だ!
スーゼ、私はここにいます!
スーゼ
ずっと、貴様を探していた。
どこにも貴様の姿はありやしない。
怒ったり、罵倒したこともある。
神よ、私の罪を許したまへ。
貴様の飲み仲間と一緒に、やっと見つけたぞ!
貴様は忘れっぽい男だ。
今すぐ私と一緒に来るべし!
トムズ
親愛なる妻よ......私を不審に思わないでください。
残念ながら、私はコオロギのように陽気です。
グリーン、スクロップ、ガッズヒル
奥さん、なぜ俺たちは怒られないといけないのか。
今日は結婚披露宴なのです。
スーゼ
黙れ!黙れぃ! 私の怒りが膨らむ前に!*10
それでもあえてつぶやいてみるか。
一人一人にに伝えていく。
貴様らが何者で、何の価値があるのかを。
トムズ
おお、なんと
スーゼ
ロバート・グリーン!! 貴様は次のように知られている!
この国では、悪い夫として。
今も昔も、他の女を見るのが好きで
賭け事をし、大酒飲み。
トムズ、貴様は年老いた愚か者だ!
過去にも未来にも何の役にも立たない!
ギャンブラーで大食いで大酒飲み!
スクロップ、スクロップも同じだ!
おい貴様、ジェームス・ガッズヒル!お前はバカだ!
簡潔に言えば、貴様ら全員が無価値だ!
トムズ
ああ、スーゼ、どうかおちついて
私は至福に満ちています。
スーゼ
うぬ、私は貴様ら全員に言っている。
一人一人が価値のない人間だ!
グリーン、スクロップ、ガッズヒル
静かにお願いします! いや、神に誓って、それはやりすぎです!
(トムズ、奥さんに)静かにするように言ってください。
トムズ
スーゼ、私たちのことは放っておいてください。
ほら、あなたも少し飲んでみてはいかが?
グリーン、スクロップ、ガッズヒル
(トムズ、奥さんに頼むから)静かになるように言って下さい。
(トムズ、奥さんに頼むから)静かになるように言って下さい。
※ここら辺は、各々がそれぞれ同時に発言している模様。
スーゼ
何? 今のは何? 私に静かにしてろっていうのか?
グリーン、スクロップ、ガッズヒル
はい、もうあなたの声は聞きたくありません。
スーゼ
私を黙らせたいのですか?
グリーン、スクロップ、ガッズヒル
残念ながら、私たちはもうあなたの声を聞きたくありません!
トムズ
頼むから静かにしてください
もう一度、スーゼと他3人のセリフを繰り返す
スーゼ
No!No!ノー!ノー!
今度はもっと大きな声で叫んでやります!
ブラント
スーゼ、どうか落ち着いてください。
スーゼ
No!No!No!No!No!No!
グリーン、スクロップ、ガッズヒル
静かにしてください! 彼女を静かにさせてください!
スーゼ
静かになんてするわけがないだろう!
ちょっと待って、私が貴様に
私が話すことができること、話したいことを!
私が言ったことが気に入らなかったのか?
だったら、貴様らを怒らせるために
最初からやり直しだ!
トムズ
スーゼ、私に構わないでください
一杯やってください
ロバート・グリーン!! 貴様は次のように知られている!
この国では、悪い夫として。
グリーン、スクロップ、ガッズヒル
あの女傑は正気を失っているのか!?
スーゼ(3人が何かいってもお構いなしに続ける)
今も昔も、他の女を見るのが好きで
賭け事をしたり、酒を飲む。
グリーン、スクロップ、ガッズヒル
隣人(トムズ)よ、(お前の嫁さん)どうすっぺ?
スーゼ
トムズ、貴様は年老いた愚か者だ!
過去にも未来にも何の役にも立たない
ギャンブラーで大食いで大酒飲み!
スクロップ、スクロップも同じだ!
おい貴様、ジェームス・ガッズヒル!お前はバカだ!
簡潔に言えば、貴様ら全員が無価値だ!
グリーン、スクロップ、ガッズヒル
隣人(トムズ)よ、(お前の嫁さん)どうすっぺ?
トムズ
私のように冷静になってください。
ひどくなったら、笑って済ませましょう。
結局、彼女は愛すべき小さな女性なのです。
彼女に乾杯しましょう!長生きしてね。
※ここら辺から皆同時にしゃべっている。
スーゼ
簡潔に言えば、貴様ら全員が無価値だ!
グリーン、スクロップ、ガッズヒル
アハハハハハハ!!!
トムズ、グリーン、スクロップ、ガッズヒル
乾杯!乾杯!乾杯!乾杯
ここで騒ぎを聞きつけた村人たち登場、コーラスが始まる。
トムズ
スーゼ万歳!スーゼ万歳!スーゼ万歳!
グリーン、スクロップ、ガッズヒル
アハハハハハハ!!!
村人たち(コーラス)
何て音だ! 何が起こったの?
教えてください、何があったのですか?
誰も言葉を聞き取れない。
それは真剣なのか、それとも楽しいのか?
この叱り声、この笑い声
私たち全員を混乱させます!
あなたは私たちを狂わせたいの?
女の人、やっと静かになりましたね。
スーゼ(コーラスの間、スーゼも叫び続ける)
ロバート・グリーン!お前は(以下略、恐らく先ほどの罵倒を繰り返している)
他の四人は笑い続ける
ここのコーラス部分は各々が好き勝手に言い合ってるので、もはや台本との整合性は取れない。
この騒ぎは、突如鳴り響いた銃声により中断される。農夫ゲオルグが駆けこんで来て「吸血鬼によってエミーが殺されたから銃で撃った」と語る、というのが一連の流れだ。この部分は、マルシュナーは師匠である「魔弾の射手」で有名なウェーバーを見習っているとされる。
「新クローヴ オペラ事典」にある内容から補足すれば、スーゼ来る前に4人は「収穫祭の時は飲まずにいられない」を歌っていて、陽気に騒いでいた。そこにスーゼが乗りこんでくるのだが、テーブルに飛び乗って叱りつけているという。ここの奥さんは、結構アグレッシブに行動していたようだ。
さてチン〇版ソープ・オペラ版は当然、元のオペラとは少々違う展開だ。楽曲的な面でいえば、最後のコーラス部分は省略されている。英語が分からないのでwikipediaにある簡単なあらすじや映像の描写から推測すると、自動車洗浄屋の受付係のスージーが新聞を持ってきて同僚たちと一緒に、その殺人事件についていろいろ語るようだ。その殺人とは、吸血鬼リプリーの第一犠牲者のジニー。従業員は車を洗いながらスージーに「心配するな」みたいなことを呼びかけているようだ。だがこの従業員たちが洗っている車、実は吸血鬼リプリーの持ち物で、トランクから血が垂れている。
洗車中の車のトランクから血がダラダラと垂れているのに、話に夢中になって誰も気が付いていない。ようやく話を終えると、スージーがトランクから垂れる血に気が付く。そして従業員たちが集まってバールでトランクをこじ開けると、そこには吸血鬼リプリーの第二犠牲者エマの死体が入っていた!というシーンだ。
突っ込んじゃいけないんだろうけど、普通あんな風に血が勢いよく飛び出たりはしない。まあ分かり易くするための演出ということなのだろう。それにしたって血があふれ過ぎだと思うが……
例の奥さんが出てくるシーンに関しては以上だ。次に紹介しておきたいのは、このクソオペラのインタビューについて。クソオペラは前半と後半に分かれており、後半の前に主要な役者5名のインタビュー動画がある。後半のみの動画にはないが、全編公開している動画にはインタビューも収録されている。吸血鬼ルスヴン卿役のナビル・スリマンから始まり、ヒロイン・マルヴィーナ訳のヴァネッサ・ル・シャルル、第一と第二犠牲者を演じたヘレン・カーンズ、主人公エドガー・オーブレ役のマーク・ハフナーと続く。
さて最後の1名だが、普通に考えれば出番の多さから、サー・ジョン・バークレイとサー・ハンフリー・ダーフェナウトを演じたクリストフ・フェルだろう。
だが最後の人物を見たとき、色んな意味で私は驚いてしまった。インタビューを受けたその最後の人物、それは……
例の奥さんの人じゃねーか!!!
つーか、なんだよその頭は!鏡モチでものっけてんのか!
やっぱり我慢ならん!
この演出考えたルーマニア人監督*11、面ぁ貸せ!
とっちめてやる!
いや、驚いた。このオペラのスーゼのインパクトは絶大だが、あくまで出番的には、後半にチョイ役としてちょっと出てくるだけである。どうもカリーヌ・オードベールさんはオペラ界ではかなり著名な方なようで、こうしてインタビューを受けたように思われる。そしてインタビューでの衣装を見て初めて気が付いたのだが、オードベールさんは例の奥さん以外にも、様々なコーラスで色々と出演していることが判明した。
このように、ちょこちょこと出番がある。最初youtubeには後半部分しかなかったので、DVDを買うまではオードベールさんの出番がここまであったとは気が付けなかった。
さてここまで日本に喧嘩を売ったKABUKI風クソオペラを紹介してきたが、そもそも当のフランス人はこのオペラを見てどう思っているのだろうか?実はそれがなんとなく分かるものが一番最初のシーンにある。一番最初、吸血鬼ルスヴンが復活するときコーラスが入るのだが、コーラス部隊はわざわざ客席に現れて歌う。その時の様子を見てみよう。
…
……
………
思いっきり笑われてるじゃねーか!!!
もしくはものすごく怪しんでるじゃねーか!!!
もはや「絶対に笑ってはいけないオペラ24時」になってるやんけwww
とまあ以上がマルシュナーのオペラ「吸血鬼」のクソオペラ版となる。これを見つけた経緯だが、種村季弘の「吸血鬼幻想」を見て、ポリドリの小説「吸血鬼」から派生したマルシュナーのオペラ「吸血鬼」があると知ったことがきっかけ。私は2015年よりニコニコ動画で吸血鬼解説動画を投稿しており現在も続けているが、その下調べとして調査をしている2014年の年末に見つけた。マルシュナーと同じ時期にリントパイントナーもオペラ「吸血鬼」を作ったとある。それなら今も演奏されているのでは?もしあれば紹介しようと思って、二つのオペラを探すべく検索した。
そうして検索にヒットしたのが、上記の2012年6月の「着物姿のヴァンパイア ― オペラ「吸血鬼」の爆笑映像」というブログ記事である。なんじゃこりゃ、と思ってyoutubuを再生したら、やつらが出てきたのである。そしてあの例の奥さんが出てきたときには、腹を抱えて笑ってしまった。あんなん忘れられへんわ。卑怯すぎる。ニコニコ動画の吸血鬼解説であの奥さんを紹介できたのは、動画投稿を始めてから実に2年後のことである。きちんと話の流れに沿って紹介したかったので、紹介するのは後回しにしていたのだが、なんど途中で紹介しようという誘惑にかられたことか。当然、視聴者からは色んな意味で大反響があった。あれからあの奥さんは、私のニコニコのゆっくり解説動画の象徴になってしまった。
さて記事の途中で、このクソオペラを販売するサイトが、現在はログイン必須なのに新規登録できなくなってDVDが購入できなくなったと説明した。だが記事投稿直前になってどうしても諦めきれない私は、他に販売サイトがないのかを調べてみたら、なんと他に販売するサイトを発見してしまった!それは「House Of Opera」というサイトで、なんとここはDVD販売のみならず、ダウンロード販売も手掛けていた!下記は実際のマルシュナーの「吸血鬼」販売ページ。
www.operapassion.com
マルシュナー「吸血鬼」のダウンロード映像は3つあり、左がソープ・オペラ版、真ん中と右がクソオペラ版だ。右と左はエンコードの違いによるもので、真ん中は動画1つにまとまっているが、画質がかなり悪く、右は前後編に分けられているが画質はまだ綺麗。だが後半の動画ファイルは訪れが酷いので一長一短となっているずっとセール中のようで、7.95ドルのところ3.98ドル、1つおおよそ450円程度で購入できる。当然私は購入してみた。結論から言えば日本からでも購入できた。
クレジットカード使用で購入を進めていく。まずは言語を選べるので「Japan」を選択すると、日本語表記になり、値段も日本円に直してくれる。クレジットカードの情報が漏れるのが心配?大丈夫、私はプリペイド型のVプリカで購入できたので、たとえ情報が漏れても最小限の被害で済む。だから安心して欲しい。支払情報を入力すると、次は住所入力に入る。
英語による住所入力は下記サイトを参考にすれば、問題なく入力できるだろう。住所に物を送るわけでもないから、多少間違えても問題はないはず。
次は連絡先としてメールアドレスの入力。上のチェックがついているところは「アドレス宛にオーダーのコピーを送る」というもの、不要なひとはチェックを入れなくてもいいだろう。あとは流れにそってエンターボタンを押せば、注文が通るはず。
注文してから4日後ぐらいに、メールでダウンロードリンクが送られてくる。そして実際ダウンロードできた!さて、DVD版を販売していたプレミアムオペラ版との違いだが、DVD版では一番最初にこのクソ主催者らしき連絡先が表示されるが、ダウンロード版ではそれが削除されている。
主催者らしき、という言い方なのは、表示されていたURLがどうも情報サイトのようで、オペラとは全く関係がなさそうだからだ。ただのスポンサーなのかもしれない。実際見て頂いた方が早いだろう。
www.operacompetition.hu
とまあこのように、画質が悪い版か音ズレが酷い版を選ぶしかないが、ダウンロード版が購入できる。Vプリカも使えるし、ぜひ皆さんも買ってみてはいかがでしょうか?(youtubeで視聴できるから購入する必要がないが)
プレミアムオペラを紹介した時、海賊版を売っているサイトなのかもといったが、どうも違うようだ。先ほど紹介した通販サイト「オペラハウス」のトップページにある注意書きをみると、販売しているのは全てパブリックドメインであり、高画質版は売らず、コレクションと教育目的の販売だと謳っている。以前はもし問題のあるものが見つかれば、すぐに販売は中止するという注意書きもあったようだ。実際このサイトは2007年ごろにはすでにあったようで、販売に問題があればずっと前に取り締まられているはず。というわけで皆さんもぜひ買ってみてはいかがでしょうか。
最後に。今回のマルシュナーの「吸血鬼」だがクソオペラを筆頭に、現代アレンジやらゾンビなど、あの手のこの手でアレンジされている。ニコニコによせられたコメントによれば、オペラ全体の傾向として大概の演出はやり切ってしまったので、挑戦的な演出をするものが増えているのだという。けどこうしてみると、変な演出するよりかは結局普通が一番だと思ったのは私だけであろうか。
以上で今回の解説を終わろう。次回はいよいよ、ポリドリの「吸血鬼」の内容の解説、そしてこのマルシュナーのオペラを含めた派生作品の内容を紹介していきたい。だが、しばらく放っておいたニコニコ動画の投稿も再開したいので、しばらくはブログ記事はお休みさせていただこう。ということで、クソオペラ後半部分のみを投稿した動画にあった、ある海外の方のクソオペラに関する冷静なコメントを紹介して、今回の記事を終えたい。
なぜ日本が舞台なのか?オペラ自体は大好きなのですが、なぜ日本なのかということを真剣に考えてみました。それによって、オペラが少し混乱してしまいました.... このオペラの録音がもっと増えればいいのに。このオペラが無名のオペラであることは残念なことだと思います。日本......という設定はあまり良い選択ではありません。昔ながらのレンガ造りの大きなお城にダンジョンや暗闇があった方が、この作品には合っていたと思いますし、大いに役立ったと思います。誤解のないように言っておきますが、それでも良い作品でした。また、もっと多くのオペラ・カンパニーがこのオペラを上演してほしいとも思いました。
Why is this set in Japan? I mean I love the opera itself, but I mean seriously why Japan? it made the opera a tad more confusing.... I wish there were more recordings of this opera. I think it is a shame that this is an obscure opera... but anyways ... Japan ... not really a good choice of setting. I think that keeping it old school and putting a big brick castle with dungeons and more darkness would have suited this production a bit better and helped alot. It was still good anyways dont get me wrong. I also wish more opera companies would do this opera more often but ohh well.
youtube動画「Heinrich Marschner: The Vampire (opera) Part2 Szeged 2009」にあったコメントより
クソオペラを紹介したニコニコ動画はこちら
上記の動画を作る際に参考にした参考文献一覧
www.vampire-load-ruthven.com
今回のクソオペラのインタビュー記事。現在はリンク切れ。
http://www.papiruszportal.hu/site/index.php?f=3&p=9&n=2205&e=12
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www.vampire-load-ruthven.com
今回紹介したマルシュナーの「吸血鬼」の音楽CD。ダウンロード版もあります。
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*1:機械翻訳では天罰や堕落となった。まあ報復するという意味で受け取ればよいかと思われる。
*2:この「吸血鬼は月光を浴びると復活する」という設定は、50年ほどは主流だったが次第に廃れたという。詳しくは後日、ポリドリの「吸血鬼」の内容解説記事で行う。
*3:イギリスでは局部を無修正で放映しても大丈夫なのかと非常に気になった。ご存知な方はぜひご連絡下さい。
*4:たしか私が購入した2017年時点では6718しかなく、2018年になっていつの間にか3バージョンに増えていたと記憶している。
*5:投稿直前に、他に通販するサイトを見つけたことから、どうもパブリックドメインであるように思われる。詳しくは最後に説明する。
*6:後述するが、他にも販売サイトがあったので、パブリックドメインを中心に販売していた通販サイトだと思われる。
*7:英語wikipedia記事を見ると、少なくとも初演の時は、ヤンテとエミーは別々の人が演じている。
*8:2017年当時、画像検索したときはいきなりこの落ち武者スタイルの画像が出てきて、思わず吹いてしまった。
*9:エミーの結婚相手の名前は、「新クローヴ オペラ事典」はドイツ語読みのゲオルク、森口大地は英語読みのジョージと表している。舞台はスコットランドだが、このオペラはドイツ語である。
*10:ドイツ語”Galle”は「怒り」という意味の他、「胆汁・胆嚢」という意味もある(参照:コトバンク)。そのせいで英訳版では「怒り」とせず、「胆汁”gallbladder”」と訳してしまっている。
*11:フランスのTV局主催だが、監督はルーマニア生まれ。ハンガリーの音楽学校を出たのち、そのままハンガリーで劇場を運営している方。その為このクソオペラの初演はハンガリーで行われた。