吸血鬼の歴史に詳しくなるブログ

吸血鬼の形成の歴史を民間伝承と海外文学の観点から詳しく解説、日本の解説書では紹介されたことがない貴重な情報も紹介します。ニコニコ動画「ゆっくりと学ぶ吸血鬼」もぜひご覧ください。

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ゆっくりと学ぶ吸血鬼第10話・補足と参考文献一覧

この記事は2016年10月25日にブロマガで投稿した記事を移転させたものです。
下は元記事のアーカイブ

web.archive.org

ゆっくりと学ぶ吸血鬼第10話をご視聴頂きありがとうございます。
ニコニコの仕様が変わって画質確保の為に30分59秒以内に収める必要がありましたので、動画では紹介しきれなかったことについて補足していきたいと思います。文書を簡素化するために、解説部分は常体で表記します。

動画はこちらから


萌え事典における、コリントの花嫁の解説について

 萌える!ヴァンパイア事典の『コリントの花嫁』の解説はちょっと気になる表記がある。(同じTEAS事務所の萌え萌えヴァンパイア事典ではそういった表記はない)
 
 動画では花嫁が殺されたのは「母親が自分の病気が治ったお礼として、キリスト教の神に娘の命を捧げた」と説明した。これは2つある日本語訳を見ると、そのようにしか受け取れなかったからである。だが萌え事典は次のように書いている。

だが彼女の母親は、自分の病気を治す為、彼女を殺害して神の生贄にしてしまう。

 このように萌え事典の表記では、自分の病気を治すために娘を生贄に捧げたとしている。
だが先程も述べたように、生野訳、シグナス訳両方みても、母親は自分の病気が治ったお礼として神に生贄を指し出したとしか思えない。wikisourceに掲載されているドイツ語の原文(Die Braut von Corinth (1798))を機械翻訳にかけてみたところ、やはり回復した後に捧げたというような翻訳になった。

 以上から萌え事典の「母親が自分の病気を治すために、娘を捧げた」とするのは、非常に疑わしい。やはり病気が治ったお礼として生贄をささげたとするべきだと筆者は考える。
TEAS事務所に問い合わせをしたいところであるが、以前も問い合わせて回答が得られなかったので、今回は問い合わせしていない。

 以上が萌え事典で気になる箇所です。実はもう一か所気になる箇所があるのですが、説明がややこしくなるので、次の動画の補足時に合わせて説明します。

コリントの花嫁のうp主の感想

 最初に見たのは確か2008年か2009年の頃だったと思います。cygnus_odileさんが翻訳公開されたばかりの頃です。最初は文体が古いし、倒置法だらけで「読み辛い!」というのが先行して、全く良さがわかりませんでした。この詩の良さが分かったのは1年程前、つまり今の解説動画シリーズを作ることを決意した時です。動画作りの準備段階としてジャン・マリニーの吸血鬼伝説や、栗原成郎の「スラヴ吸血鬼伝説考」の解説を見て、漸く内容が理解できてから、美しく、まさに「ロマンチックな」作品だなぁと思えるようになりました。
 動画でも説明しましたが最後の花嫁の独白シーンは、あえて読者の想像に任せているのが、より想像が膨らむ結果となりました。ゲーテは狙ってやったのか気になるところであり、ゲーテの偉大さを感じた瞬間でした。
 最後、乙女が若人に『もうあなたは生きられない』と告げるシーンですが、動画では愛に殉じる反応しました。しかし本当若人が怒りに狂ったり、あるいは死ぬ恐怖におびえていたのかもしれません。ですが今回のゆっくり劇場では「綺麗な終わり方」にしました。邪道な終わらせ方は難しいということもあって、きれいな終わり方にせざるを得ないというのもありましたが。
 ただいくら民間伝承の血を吸う伝承を用いたとはいえ、花嫁が血を吸う理由が弱いな、というのが残念に思った箇所です。

 前回のレノーレは古い作品でありながら、好評でした。今回のコリントの花嫁もその魅力がお伝えできれば幸いです。

 第11話はかなりのボリュームになる予定で、とてもじゃないですが、1回では投稿できません。今の所動画4本の予定で11月に2本、12月に2本の予定です。どうか気長にお待ちいただければと思います。

 以下は、ゆっくりと学ぶ吸血鬼第10話作成において参考にしたWebサイト、文献一覧です。


~wikipedia~

雨月物語 ・アールネ・トンプソンのタイプ・インデックス ・ロマン主義 
サミュエル・テイラー・コールリッジ ・ウィリアム・ワーズワース ・ジョン・キーツ
ロバート・サウジー ・抒情民謡集 ・アズライール ・桂冠詩人 ・野島秀勝 
シュトゥルム・ウント・ドラング ・古典主義 ・ドイツ文学 ・古典主義の都ヴァイマル
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ ・フリードリヒ・フォン・シラー 
シビュラの書 ・生野幸吉 ・山口四朗 ・ウェヌス ・ヒュメナイオス ・ケレース
バックス(ローマ神話)・マリオ・プラーツ 
アンヌ・ルイーズ・ジェルメーヌ・ド・スタール 

~海外wikipedia・wikisource~

Musen-Almanach(ムーゼンアルマナク:英語wiki)
Musen-Almanach(ムーゼンアルマナク:独語wiki)
Göttinger Musenalmanach(ゲッティンガー・ムーゼンアルマナク:英語wiki)
Göttinger Musenalmanach(ゲッティンガー・ムーゼンアルマナク:独語wiki)
Conversation poems(会話詩) ・Samuel Taylor Coleridge(コールリッジ)
Coleridge and opium(コールリッジとアヘン)
Opium and Romanticism(ロマン主義とアヘン)
Pantisocracy(理想的平等社会) ・Christabel(poem)(クリスタベル)
Poet laureate(桂冠詩人) 
Poet Laureate of the United Kingdom(イギリスの桂冠詩人)
Robert Southey(ロバート・サウジー) ・William Wordsworth(ワーズワース)
Arthur Nethercot(アーサー・ネザーコト)
Phlegon of Tralles(トラレスのフレゴン) ・Tyana(テュアナ)
Lamia(poem)(ジョン・キーツの詩・ラミア)
The Anatomy of Melancholy(ロバート・バートン著:憂鬱の解剖)
Die Braut von Korinth(コリントの花嫁:独wiki)
Die Braut von Corinth (1798)(コリントの花嫁全文:独語wikisource)
Musen-Almanach für das Jahr 1798
  (1798年のムーゼンアルマナク:独語wikisource)

~コトバンク~

コールリッジ ・汎神論 ・古典主義 ・ワイマール古典主義 ・ドイツ古典主義
フィロストラトス ・テュアナのアポロニオス 

~webサイト~

心の哲学wiki(汎神論について)
okweb:汎神論と多神教(八百万の神?)の違い
cygnus_odile の ホームページ
 (クリスタベル、破壊者タラバ、コリントの花嫁の日本語訳掲載)
English Poetry and Literature(ワーズワースについて)
ディケンズ・フェロウシップ日本支部
 アヘンの社会学 『エドウィン・ドルードの謎』をめぐって 牧嶋秀之(PDF注意)
DWAPA(コールリッジの生涯)
CiNii(ド・クインシー,『阿片常用者の告白』(1821)におけるワーズワースと阿片)
サミュエル・テイラー・コールリッジのクリスタベル
 ルマフロディトスのミューズを巡って(学習院大学 照屋由佳氏)
東京大学ホームページ(PDF注意)
 北村透谷とコールリッジの詩に見られるイニシエーション的構造  田中雅史
CiNii(論文掲載サイト)コールリッジの「クリスタベル」における現実と夢幻
 野中美賀子: 人間文化研究科年報(奈良女子大学大学院人間文化研 究科)第27号, pp.1-16
世界史の窓(古典主義について)
三木成夫の会(ゲーテの宗教観について)
オカルトの部屋(ティアナのアポロニウスについて)
世俗牧師宣言(個人ブログ:トラレスのフレゴンについて)
ヤフー知恵袋(キリストの処刑日について)
ねこねこブログ(ボルヘスの幻獣辞典、ラミアーとメニッポスの物語の紹介)
諸概念の迷宮(Things got frantic)(コリントの花嫁の解説)
J-STAGE 科学技術振興機構より 吸血鬼バラードとしての『コリントの花嫁』
 (PDF注意)ケルン大学 ハンス・エッセルボルン教授、翻訳:荒又雄介
サーシャのひとり言(個人ブログ:コリントの花嫁)

~海外webサイト~

bartleby.com(クリスタベル:英文)
The British Library(ロバート・サウジーの破壊者タラバについて)
erudit.org(破壊者タラバの作成経緯について解説)
Goethezeit Portal(ゲーテとシラーについて)
vampires.com(コリントの花嫁の英文)
Grin.com(電子書籍販売サイト:コリントの花嫁の研究論文 その1)
(コリントの花嫁の研究論文 その2)
(コリントの花嫁の研究論文 その3)
Perrypedia(ハンス・エッセルボルン教授)

~参考文献~

『吸血鬼の事典』:マシュー・バンソン・著/松田和也・訳/青土社/1994年
『吸血鬼幻想』:種村季弘/河出文庫/1983年
『図解吸血鬼』:森瀬 繚、静川龍宗/新紀元社/2006年
『血のアラベスク 吸血鬼読本』:須永朝彦/ペヨトル工房/1993年
『増補新版 スラヴ吸血鬼伝説考』:栗原成朗/河出書房新社/1991年
『萌える!ヴァンパイア事典』:TEAS事務所/(株)ホビージャパン/2015年
『萌える! 魔女事典』:TEAS事務所/(株)ホビージャパン/2012年
『怪奇文学大山脈Ⅰ』:荒俣宏編纂/東京創元社/2014年
『伝奇ノ匣9 ゴシック名訳集成 吸血鬼譚』:東雅夫・編/学研M文庫/2008年
『阿片常用者の告白』:トマス・ド・クインシー作/野島秀勝 訳/岩波文庫/2007年
『幻獣辞典』:ホルヘ・ルイス・ボルヘス作/柳瀬尚紀 訳/河出文庫/2015年

~使用素材~

魔王魂様
  http://maoudamashii.jokersounds.com/
On-Jin ~音人~様
  http://on-jin.com/

~ニコニ・コモンズ~

AviUtl+拡張編集Plugin/KENくん様/im1696493
棒読みちゃん/みちあき様/sm16738081
nicotalk+キャラ素材スクリプト/ズーズ様/sm21738771,sm27609245
つんでれんこ/窓屋様/sm7634361
きつねゆっくり/きつね様/im4817713
説明枠/nagi様/nc81796
和室(床の間)/丸い人様/nc58539
【東方】フラワリングナイト ジャズ風アレンジ/首振りP様/nc32144
【東方】ピチューン音/koshibone様/nc899
東方立ち絵まとめ/はるか様 dairi様/im3189645

下はお勧めの吸血鬼解説本です。見た目とは違い内容は本格的です。

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