吸血鬼の歴史に詳しくなるブログ

吸血鬼の形成の歴史を民間伝承と海外文学の観点から詳しく解説、日本の解説書では紹介されたことがない貴重な情報も紹介します。ニコニコ動画「ゆっくりと学ぶ吸血鬼」もぜひご覧ください。

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吸血鬼とヴァンパイアとドラキュラの違いは?きちんと使い分けしよう!

 ニコニコのブロマガからはてなブログへ移転してきたが、そもそも前提事項となることを今まできちんと記事にしてこなかったので、今回はそれを説明していきたい。 それは「吸血鬼」「ヴァンパイア」「ドラキュラ」の違いについて。 ネット上を見てみると、これらの違いを分かっていない人が結構見受けられる。私への質問でも、混同して質問してくる方が時々見受けられる。当ブログではこの違いを知っていること前提で解説していくので、知らなかった方はぜひこの機会に覚えて頂きたい。それぞれの違いは次の通り。

  • 吸血鬼:"vampire"(ヴァンパイア)*1を表す日本語で和製漢語

  • vampire(ヴァンパイア):吸血鬼を表す英語、バンパイアと表記されることもある

  • ドラキュラ*2:1897年ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」に登場する吸血鬼の名前。つまりドラキュラ伯爵という個人を表し、決して吸血鬼全般を表す言葉ではない。


 ネット上では「ヴァンパイア」の意味で「ドラキュラ」という言葉を用いる人をよく見かける。ドラキュラは吸血鬼小説としては後発にも関わらず主に映画の影響で、他の吸血鬼小説と比べて圧倒的に知名度があり、吸血鬼を表すほぼ一般名詞になってしまった。女性の吸血鬼を表す「ドラキュリーナ」という言葉もできるほどで、どこかしらで見たことがある人もいらっしゃることだろう。だが本来ドラキュラとは個人名であり、決して吸血鬼全体を表す言葉ではないので、きちんと使い分けすることが望ましい。


 こう言うと、「細かいこというな」とか、「もう一般名詞化したんだからいいじゃん」という意見も出てくるだろう。だが吸血鬼に詳しい人からすれば、ヴァンパイアとドラキュラの混同は混乱の元である。特に吸血鬼を詳しく解説する当ブログのような場合、ドラキュラ以外のヴァンパイアと、ドラキュラの話題を混ぜてすることが多々ある。だから当ブログでは混乱を避けるために、きちんと使い分けをして解説していく。そして知らなかった方は、ぜひこれを機にそれぞれの違いを理解し、きちんと使い分けをして頂きたい。


 ちなみに吸血鬼は元々は東欧独自の化け物であり、和製漢語である。つまり日本には吸血鬼としか呼称できない、日本独自の吸血鬼というものは存在しない。*3 そのあたりは過去記事で詳しく解説したのでよろしければご覧ください。ニコニコのブロマガ時代に投稿したものですが、大反響のあった記事ですのでぜひご覧頂きたい。 www.vampire-load-ruthven.com


下はお勧めの吸血鬼解説本です。見た目とは違い、内容は本格的です。

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*1:当然、吸血鬼を指す言葉は国よって違う。欧州では英語を中心に”vampire”表記が多いが、ドイツ語やトルコ語は”vampir”と表記する。

*2:細かいことを言えば、ドラキュラとは元々は串刺し公ヴラド・ツエペシュのあだ名で「ドラクルの息子」と言う意味であるが、今回の趣旨から外れるので注釈に留めておく。

*3:よく飛縁魔が日本の吸血鬼などと言われたりするが、それは「吸血鬼っぽい日本の妖怪」という意味。そもそも本当に吸血鬼なら「飛縁魔」ではなく、そのまま「吸血鬼」と呼称すればいいだけだ。「日本の吸血鬼」という言い方をするあたりからも、日本の伝承には「吸血鬼に似た存在」はいても、「吸血鬼」としか呼称できない存在はいないことがわかる。