シリーズ目次(クリックで展開)
⓪吸血鬼小説『死者よ目覚めるなかれ』の作者はティークではなくて別人だった!本当の作者とは!?
(ヘイニングの不正を知る前の記事)
①女性作家による最初の吸血鬼小説「骸骨伯爵、あるいは女吸血鬼」が捏造作品だったことについて
②古典小説「フランケンシュタインの古塔」はピーター・ヘイニングの捏造?他にもある数々の疑惑
③ホレス・ウォルポールの幻の作品「マダレーナ」が、別人の作品だった
④女性で最初に吸血鬼小説を書いたエリザベス・グレイという作家は存在していなかった
⑤ドラキュラに影響を与えた作者不詳の吸血鬼小説「謎の男」の作者が判明していた
⑥ドラキュラのブラム・ストーカー、オペラ座の怪人のガストン・ルルーに関する捏造
⑦この記事
⑧吸血鬼小説「死者よ目覚めるなかれ」を1800年作と紹介してしまったのは誰なのか
⑨【追補】吸血鬼小説「謎の男」の作者判明の経緯について
⑩アメリカ版「浦島太郎」として有名なリップ・ヴァン・ウィンクルの捏造
吸血鬼小説「死者よ目覚めるなかれ」という作品は、日本では長らく作者はドイツのヨハン・ルートヴィヒ・ティークの作品で、1800年作であると紹介されていた。だが本当の作者はドイツの多作劇作家、エルンスト・ラウパッハであり、初出は1823年であった。日本で間違えて紹介され続けたのは、1994年のマシュー・バンソン「吸血鬼の事典」の影響だろう。だが、そもそも間違いが広まった原因は、英国のアンソロジスト、故・ピーター・ヘイニングのアンソロジーからだとされていた。その経緯を日本で最初に紹介したのは、2017年に私がニコニコのブロマガで投稿した記事だろう。当時はピーター・ヘイニングの数々の捏造疑惑を知らなかったので、ヘイニングの単純ミスではないかとして紹介した。だがヘイニングの数々の怪しい疑惑を知った現在では、「いつものヘイニングの捏造案件」であると思っていた。
ところが、あるきっかけで色々調査をしていたら、ヘイニングよりも前に作者をルートヴィヒ・ティークだと間違えて紹介していた人を発見した。これまで私はヘイニングの「いつもの捏造」と言いきってしまっていたが、そうでない可能性が浮上した。そして今まで私が見てきた資料をよく読めば、ヘイニングのせいとは言いきれないことも読み取れることが判明。今回はその経緯と検証結果を紹介していきたい。できれば過去記事を読んで経緯を知ってから、この記事をご覧頂きたい。
過去記事(ニコニコブロマガ版)
site.nicovideo.jp
過去記事(はてなブログ移行版)
www.vampire-load-ruthven.com