- 実の姉と近親相姦の関係になるバイロン
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実の姉と近親相姦の関係になるバイロン
前回の続きより解説する。不倫関係にあったキャロライン・ラムとどうにか分かれることができた後、バイロンは虚無感に襲われる。 そうした最中1813年6月のある日、ロンドンにいるバイロンのもとに腹違いの姉オーガスタ・リーが、シックス・マイル・ボトムより押しかけてきた*1。
(1783~1851)
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姉のオーガスタは、夫のリー大佐から家庭内暴力を受けていた。さらに経済的に困窮していた。夫がギャンブル狂いで競馬にハマっていたからだ。幼児3人抱えているので家計が持ちこたえられなかったので、弟のバイロンのもとに逃げてきた。この時まだ29歳。そしてバイロンに献身的に尽くす。彼女の官能的な優しさはバイロン好みでもあった*2。
ここまで言えば察せられたことだろう。バイロンは実の姉オーガスタと愛し合うようになる。それは傍目からみても恋人同士にしか見えないとか、愛人関係は公然たる事実だと言われるほどであった*3*4。そしてナポレオンが退位した8日後の1814年4月14日、オーガスタは娘のエリザベス・メドラ・リーを産む。この女児は姓が一応夫のリーとなっているが、世間ではバイロンの子と噂された*5。 メドラというミドルネームは、バイロンの作品「The Corsair:海賊」に登場する美しい愛人メドラの名前であるから、このあたりからも噂を助長する羽目になったのだろう。
*1:楠本晢夫「永遠の巡礼詩人バイロン」:三省堂(1991) pp.120-121
*2:同上 p.121
*3:同上 p.121
*4:「オーガスタ・リー」日本語wikipedia記事
*5:「永遠の巡礼詩人バイロン」 p.137