シリーズ目次(クリックで展開)
①吸血鬼の元祖はドラキュラではなく、吸血鬼ルスヴン卿こそが吸血鬼の始祖
②この記事
③最初の吸血鬼小説の作者ジョン・ポリドリと詩人バイロン卿、その運命の出会い
④バイロンの吸血鬼の詩「異教徒」とバイロンの祖国追放
⑤『最初の吸血鬼』と『醜い怪物』が生まれた歴史的一夜「ディオダティ荘の怪奇談義」
⑥最初の吸血鬼小説と当時の出版事情の闇、それに翻弄される者たち
⑦ドラキュラ以前に起きた「第一次吸血鬼大ブーム」・大デュマの運命も変えた
⑧日本に喧嘩を売ったフランスの吸血鬼のクソオペラ
ブラム・ストーカーの小説に登場するドラキュラという吸血鬼は、今やヴァンパイアの意味で誤用されるほど、吸血鬼(ヴァンパイア)の代名詞的存在となったが、ドラキュラは吸血鬼作品としては後発作品であり、ドラキュラ以前にも吸血鬼作品は多数存在していることを、前回の記事で紹介した。当ブログにお越し頂いた方々の中には、是非とも読んでみたいと思われる方もいらっしゃることだろう。今回はそんな「ドラキュラ以前の吸血鬼小説」を、分かる範囲で簡単に内容の紹介と、日本語訳があるものに関してはその邦訳本を紹介していく。簡単な紹介にとどまるが、それでも19世紀の吸血鬼像は今とは違うということ、吸血鬼はもっと自由に設定していいというのが、何となくお分かりになるかと思う。ということで、まずは前回記事でも紹介した、マシュー・バンソン「吸血鬼の事典」(1992)に掲載されていた吸血鬼作品年表を元に、私が追記した年表をご覧頂こう。赤線は、ドラキュラの系譜とも言うべき重要な作品を表す。
吸血鬼の元祖はドラキュラではなく、吸血鬼ルスヴン卿こそが吸血鬼の始祖!【吸血鬼の元祖解説①】
序章
ご挨拶のページでも申し上げましたが、私は2021年5月1日にニコニコのブログサービス「ブロマガ」のサービス終了に伴い、このはてなブログへと引っ越ししてきました。そのブロマガでは「吸血鬼元祖解説シリーズ」の連載途中でした。もちろん連載途中の記事は全部引っ越しできているのですが、今回新たに作り直すことにしました。理由は、このはてなには脚注機能があるからです。以前の私の記事をご覧になった方はお分かりでしょうが、私の記事はとにかく参考文献を細かく明示しています。ですがブロマガには脚注機能はなく*1、仕方がなく文章の合間に脚注を表記していました。それが脚注機能で文章途中に差し込む必要がなくなり、また脚注番号を入力する手間もなくなり、作業効率がよくなるという恩恵も受けられるようになりました。
連載途中の最新の記事から脚注を使ってもよかったのですが、連載中の記事で表記の仕方が変わるが嫌だったので、連載途中のこのシリーズは最初から作り直すことにしました*2。 ということで前置きはこれぐらいにして、ブロマガより改めて「吸血鬼元祖解説シリーズ」を始めていきます。
吸血鬼とヴァンパイアとドラキュラの違いは?きちんと使い分けしよう!
ニコニコのブロマガからはてなブログへ移転してきたが、そもそも前提事項となることを今まできちんと記事にしてこなかったので、今回はそれを説明していきたい。
それは「吸血鬼」と「ヴァンパイア」と「ドラキュラ」の違いについて。
ネット上を見てみると、これらの違いを分かっていない人が結構見受けられる。私への質問でも、混同して質問してくる方が時々見受けられる。当ブログではこの違いを知っていること前提で解説していくので、知らなかった方はぜひこの機会に覚えて頂きたい。それぞれの違いは次の通り。
吸血鬼:"vampire"(ヴァンパイア)*1を表す日本語で和製漢語
vampire(ヴァンパイア):吸血鬼を表す英語、バンパイアと表記されることもある
ドラキュラ*2:1897年ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」に登場する吸血鬼の名前。つまりドラキュラ伯爵という個人を表し、決して吸血鬼全般を表す言葉ではない。
*1:当然、吸血鬼を指す言葉は国よって違う。欧州では英語を中心に”vampire”表記が多いが、ドイツ語やトルコ語は”vampir”と表記する。
*2:細かいことを言えば、ドラキュラとは元々は串刺し公ヴラド・ツエペシュのあだ名で「ドラクルの息子」と言う意味であるが、今回の趣旨から外れるので注釈に留めておく。
吸血鬼の歴史に詳しくなるブログ開設しました
表題の通り、この度「吸血鬼の歴史に詳しくなるブログ」を開設しました。
日本における吸血鬼ヴィジュアルイメージはどのように定着していったのか:当ブログ記事を参考にした卒業論文が作られました
この記事はニコニコのブロマガから移転させた記事です。ブロマガではできなかったアコーディオンメニューをhtml5で書いてみたのですが、 改行タグを入れてもなぜかpタグが挿入されてしまい、不自然な空白が出来てしまっています。新規作成記事ではこんなことはおきないのだが…とまれアコーディオンメニューを移転記事に導入するのはこの記事だけに留めておきます。
以前、英語”vampire”の訳語として「吸血鬼」という言葉を作ったのは南方熊楠であったという説が覆ったことを解説しました。これらの記事はこれまでの定説が覆ったことと、その定説の提言者である東雅夫氏が新発見と太鼓判を押してくださったこともあり、大変反響がありました。そしてなんと当記事を参考として、「日本における吸血鬼イメージの定着について」卒業論文を作り上げた方がいらっしゃいましたので、今回はその卒業論文についてご紹介しようと思います。論文の紹介、公開、ご本人様の名前の公開は、ご本人様からご許可を頂いております。
以下の記事は読まなくても理解はできますが、これらの記事を参考にした論文であるので、できれば先にご覧ください。動画バージョンもあります。
上記を説明した動画はこちらから
論文は下記リンクよりダウンロードして閲覧してください。
各ファイルはドロップボックス内にある「各ファイルの説明.pdf」をご覧ください。卒業論文本文は、「soturon.pdf」になります。
ゆっくりと学ぶ吸血鬼 第15.5話③ 参考文献一覧
ゆっくりと学ぶ吸血鬼③の参考文献一覧です。
動画はこちらから
ゆっくりと学ぶ吸血鬼 第15.5話①と②分 参考文献一覧
ゆっくりと学ぶ吸血鬼第15話①と②の参考文献一覧です。
③は別に紹介します。
また卒論で紹介された件についても、後日別の記事で参考文献を紹介します。
動画はこちらから